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ブルーイーはなぜ規格外の長寿を全うできたのか?
(Iryna Dobrovynska/shutterstock)
「1日でも長く、愛しい犬と一緒に過ごしたい…」
それは全愛犬家に共通した、切なる願いであるはずです。
犬種によって違いはあるものの、犬の平均寿命はおおよそ12~15年程度。
近年は医療技術の発展によってペットの寿命も伸びてきていますが、それでも我々人間と比較すると大きな差があることも事実です。
今回ご紹介する「ブルーイー」は、ギネス記録に認定されている“世界で最も長生きした犬”。
その寿命はなんと、29歳5ヶ月です。
前述した犬の平均寿命と比較すると2倍~3倍もの開きがあります。
これだけの年月を楽しく生きられたのなら大往生といって差し支えないでしょう。
なぜ彼はこれほどまでに規格外の長寿を全うできたのか、その理由を一緒に考えてみましょう。
ブルーイーは「牧牛犬」という役割を持っていた
(Iryna Dobrovynska/shutterstock)
ブルーイーは、オーストラリアン・キャトル・ドッグという犬種。
オーストラリアン・キャトル・ドッグは1890年にオーストラリアで誕生した犬種で、その名に「Cattle(牛)」とあるように、牛の放牧を手伝う牧牛犬として作られました。
彼らの仕事は、牧畜を営むオーナーさんに従って、牛の家畜を誘導すること。
たとえば、放牧を始めるときは牛を草原に追い立て、逆に牛を牛舎に入れるときは、ちゃんと牛が戻ってくるよう誘導するのが約目です。
決して吠え声はあげず、言うことを聞かない牛がいた場合は、かかとを優しく噛んで驚かすというテクニックも持っています。
「生きがい」となる仕事が元気の秘訣!?
(Iryna Dobrovynska/shutterstock)
実は、ブルーイーの生涯はあまり詳しくわかっていません。
わかっているのは「牧牛犬として20年間活躍した」こと、「その後、老衰により安楽死となった」ことです。
この僅かなヒントから、なぜブルーイーが長生きできたのか考えてみましょう。
まず、“20年もの間、牧牛犬として活躍できた”という事実から考えると、非常に健康で充実した生活を送っていたことが伺えます。
牧牛犬の仕事に休みはありません。
牧畜では365日、世話しなければいけない家畜を抱えているはずですし、もしブルーイーが役目を果たせなければ、牛たちは彼らのご飯である牧草を食べることもできないはずだからです。
つまり、“ブルーイーにとっては牧牛犬としての毎日そのものが非常に充実したものであった”、“毎日仕事をこなすことが健康の秘訣だった”と考えてよいのではないでしょうか。
人間にも仕事にやりがいを持ち、働いていることで気力が充実してくるというタイプの人がいます。
ブルーイーもまさにこのタイプだったのでしょう。
実際、20年も働いていればどんどん若い犬の「同僚」も入ってくるはずです。
そんな中でも、ブルーイーが仕事を続けられた、つまり“若者に負けない体力・気力を持ち続けられた”という事実が、このことを証明しているのではないでしょうか。
「犬を取り巻く環境」を整えることが人間の仕事
(Iryna Dobrovynska/shutterstock)
ここで逆に世間一般の犬を取り巻く環境について考えてみましょう。
近年、ペットの犬の寿命が伸びてきているのは“飼育環境の改善・医療の発達・飼育技術の向上”などが主な理由です。
犬がよりストレスなく、健康に暮らせるよう周りの環境を整備できるようになったために寿命が伸びていった、と言えるでしょう。
そこから考えると、ブルーイーが長生きできた理由も彼を取り巻く環境に主な原因があったと考えるのが自然です。
我々人間が、犬に少しでも長生きしてもらうために何かできることがあるとすれば、まさにその“犬が生きやすい環境”を整えることではないでしょうか。
ブルーイーに学ぶ「長生きの秘訣」
(Iryna Dobrovynska/shutterstock)
・犬に生きがいとなる役割を与えてあげること
・犬が生きやすい環境を整えてあげること
ブルーイーの事例からは、以上2つの“長生きの秘訣”を学ぶことができました。
重要なのは、この2つのどちらも犬を見守る我々人間の努力によって達成できるということです。
犬も人間と同じく個体差があります。生まれながらに病気がちな子もいれば、逆に元気いっぱいで健康な子もいるでしょう。
しかし、その犬の個性がどのようなものであれ、“生きがい”を感じられるような役割を与えられるか、その生きがいに邁進できるような生活環境を与えてあげられるかは、すべてオーナーさんの努力にかかっています。
ブルーイーは最終的には、老衰による安楽死となりました。
明確な死因や晩年の過ごし方は不明ですが、29歳5ヶ月という年齢を考えると、自身も家族も満足のできる一生だったのではないか思います。
彼の記録に迫るのは、なかなか容易なことではないでしょう。
しかし、彼と同じくらい満足できる一生を犬に与えてあげようと努力することこそ、愛犬家にとって最も大切なことなのかも知れません。
そうした努力はきっと犬にも愛情として伝わり、皆さんと愛犬との絆をより深めてくれるはずです。