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そもそも犬に相性はあるのか
(Anastasiia Cherniavskaia/shutterstock)
私たち人間だけでなく、犬たちも、群れで生きる動物です。
犬が集団生活をできるというイメージを持たれている方は、多いのではないでしょうか。
仲の良い犬友達と遊んでいる姿は、本当に楽しそうで、ほほえましいものですよね。
犬はオオカミと違い、野生の動物ではありません。
1万5千年前から人間と暮らしながら、家畜化されてきた動物です。
人との暮らしに適応できるように家畜化されてきた歴史から、基本的には、群れという社会を作って暮らす、平和主義の動物であると言われています。
「平和主義であるならば、ケンカなんてしないのでは?」と思われるかもしれません。
そうなのです。犬たちは基本的に、理由がなければケンカはしないはずなのです。
犬は、どんなときにケンカをするのか
(solomonphotos/shutterstock)
では犬はどんな時にケンカをするのでしょうか。
大きくは、以下の2点だといわれています。
・不快なことをされる
・不快なことから逃げられない
例えば、食べ物を取られてしまったり、おもちゃを取り合ったり、寝場所を取られそうになったり。自分の権利が脅かされそうなときに、不快なことをされたことでケンカになります。
また、遊びたくないと言っているのにドッグランで執拗に追いかけられている犬や、リードでつながれていて逃げられないのに嫌々お尻を嗅がれ続けている犬など、ケンカをしますよね。
これが、不快なことから逃げられないため、ケンカに発展するケースです。
不快なことをしてくる相手のことは嫌いになりますよね。
これは犬同士の相性だけではなく、犬と人、如いては人と人でも同じことです。嫌なことをする子とは相性が悪いわけです。
相性がいい犬とは
(otsphoto/shutterstock)
では、相性がいい犬とは、どういう子でしょうか。
それは、その子が嫌だと思うことをあまりしない子か、良いことをしてくれる子です。
それは犬の性格的なものに任せるだけでなく、嫌だと思う場面に遭遇させないように、実はオーナーさんが犬同士の接触に配慮をしている場合もあります。
ここからは、そのあたりを詳しくお話していきます。
相性を悪いものにしないように、私たちができること
(Olena Tselykh Fotografie/shutterstock)
犬同士でたまたま気が合って、仲良くしてくれればそれは楽なのですが、そういうことばかりではありませんよね。
じつは、相性を悪いものにしないように、オーナーさんが出来ることがたくさんあるのです!
例えば、ドッグランを想像してください。
ドッグランの中には、追いかけっこをしたくて興奮している子もいれば、オーナーさんとゆったり過ごしたい子もいます。
ゆったり過ごしたい子がしつこく遊びに誘われ続けて困っているとき、そのままにしていれば、ゆったりしたい子はそのしつこい子を嫌いになってしまいます。
その時はドッグランを出るなど、適切な距離を取ってあげられれば、ゆったりしたい子はしつこい子を嫌いにならずに済むのです。
その上、また今度別の機会で会ったとき、たまたまお互いが遊びたい気持ちが一致すれば、大好きなお友達になれるチャンスもあるわけです。
犬たちは、自らその環境にいるわけではない
(Fotyma/shutterstock)
犬たちは、自分から望んでドッグランに入ったわけでもありませんし、自分から望んで2頭以上で同じ家にいるわけでもありません。
私たちの勝手でこちらが選んだワンコたちをその場所にいさせているわけですから、初めから仲良くなることを期待してはいけません。
どの子も嫌な思いをしないで快適に過ごせるように、常に環境を整えてあげれば、仲良くなれるチャンスはあるわけです。
平和主義な犬たちが争うようなことがあるならば、それは犬たちのせいではなく、私たちの環境設定の問題です。
私たちに置きかえて考えてみましょう
(qunamax/shutterstock)
犬と暮らしている人に絶対に知っておいて欲しいことは、「犬なんだから、どんな人とも、どんな犬とも、すぐに仲良くなれて当たり前!」…“ではない”ということです。
どんな犬にも自分から駆け寄っていくような、犬が大好きな子もいます。
犬が近くを通り過ぎるだけでも怖くて吠えてしまう子もいます。
過去の経験によって、好き嫌いに違いがあることを理解し、その子のすべてを受け入れることも愛情です。
ドッグランで遊びまわる子もいれば、ずっとドッグランの端っこにいる子もいます。
ではドッグランの端っこにいる子が臆病なのかというと、一概にそうとは言えません。
なぜなら、自分の仲の良いワンちゃんがドッグランに入ってきたとたん、端っこから出てきて、楽しそうに遊びだしたりするからです。
犬たちにも、好き嫌いがある
(2checkingout/shutterstock)
私たち人間と同じで、犬たちにも好き嫌いがあるのです。どんな犬とでも、いつでもOKというわけではないのです。
人間でも、多くの人数でワイワイするのが好きな人もいれば、少人数で集まるのが好きな人もいますよね。
また、初対面でも誰とでも話せる人もいれば、緊張してしまう人もいます。
じゃあ緊張してしまう子は誰とも仲良くなれないかというと、そんなわけではありません。
ペースの合う子と出会えれば、友達になれるかもしれません。
また、あまり得意でなかった犬のことが、だんだん好きになっていくこともあります。
ですから、決まりきってしまって一生変わらない相性というよりは、その時点での好き嫌いだとイメージしてください。
犬たちも、年齢や性別はバラバラ
(Ezzolo/shutterstock)
そもそも、人からしたら犬はみんな可愛いわけですが、その子その子で年齢も性別も大きさもバラバラです。
体重差が10倍くらいある子だっているわけです。
10歳の女の子と60歳の男性が初対面でいきなり意気投合して遊びまわるかというと、そんなことばかりではないはずです。
日頃出会う犬との、相性の良し悪しの見分け方
(otsphoto/shutterstock_)
まず、犬同士のあいさつのときに気にすべきことは、「どちらかが一方的になっていないか」です。
一方の犬は逃げ腰なのに、もう一方の犬はグイグイ積極的に近づいていたりすれば、それはもうご挨拶をするにしても気持ちの良い形ではありません。
逃げ腰の方の犬は、すでに嫌がってしまっているからです。
例えばこんな感じです。
犬A「こんにちは。お尻をかいでもいいですか?」
犬B「ごめんなさい。今は嫌です。あっちに行ってください。」
犬A「まあまあ、いいではないですか。ぼくは犬が大好きなんですよ。」
犬B「さっきから嫌だと言っているでしょう。喧嘩はしたくないのですよ。」
犬A「まあまあ、そんなこと言わずに。グイグイ(お尻を嗅ぐ)」
犬B「だから…嫌だと言っているでしょう!!ガオ―――!!(吠!)」
…街角でもよく見かける風景かも知れません。
ペットである犬たちは、リードでつながれています。
それゆえ、嫌だなと思って距離を取りたくても、リードが張ってしまったらそれ以上には行けません。
だからこそ、オーナーさんたちが犬の表情を見て、自分の犬や相手の犬が喜んでいるかどうかを冷静に判断し、どちらかが嫌がっていたらすぐに介入して、あいさつを中断して距離を取ってあげる必要があります。
遊んでいるか、嫌がっているかを見分ける方法
(Ksenia Raykova/shutterstock)
他にも、遊んでいるときに、これは“遊び”なのか、ちょっと行き過ぎて“嫌がられている状態”になってしまっているのかを見分ける方法があります。
遊んでいる犬のうち、積極的に追いかけている方の犬を、人が介入して動きを止めてみるとわかります。
追いかけられていた方がもう一度戻ってきたら、「もっと追いかけてよ♪」という意味で、遊びとして楽しかったのかも知れません。
しかし、追いかけられていた方の犬がそのままどこかに行ってしまったり、どこかに隠れたりしたら、「あ~、しつこかった!止めてもらって助かったな~」と思っているかもしれません。
普段は相性の良い子でも、何か虫の居所が悪かったりすれば、「今日はしつこくしないで!」ということがあるかもしれません。
犬の遊びも犬のご挨拶と同様に、一方的ではいけません。気持ちも力も、“互角”であれば遊びとして成立するわけです。
犬同士で遊んでいるときに、一方的なものにならないように、目を離さず見ていてあげてくださいね。
必要な時にはすぐに、遊びを止めて落ち着かせてあげるなどの介入もお忘れなく。
最後に…
(hypersoulz/shutterstock)
ワンコたちが仲良くなれるかなれないかは、私たちの環境設定や、犬同士のコミュニケーションにどう介入するかにかかっていると言っても過言ではありません。
そのためにも、犬が喜んでいるのか、嫌がっているのかを見る目を養い、わが子の気持ちならなんでもわかるスーパー愛犬マニアになってあげてくださいね。