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けいれんは、意外に身近なこと
(Jet Cat Studio/shutterstock)
皆さんは、ワンちゃんのけいれんを見たことがありますか?実際に、目の前でけいれんを起こしている姿を見たことがある方は、多くないかも知れません。
しかし、けいれんの原因の1つである「てんかん」の発作は、100頭に1頭が起こすと言われています。
愛犬や、犬友の数を考えると、自分には関係無いと割り切れるほど少ない可能性ではありませんよね。
とても身近なことだからこそ、オーナーさんが心の準備をして、大切な愛犬の笑顔を守りましょう。
けいれんの原因は?
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けいれんとは、どんな状態のことなのでしょうか?
けいれんには、身体の筋肉の一部をピクピクさせるだけの部分的なものから、全身の筋肉を固くして突っ張ったり、ガタガタと大きく身体を震わせたりするような、様々な状態があります。
けいれんによって、口から泡をふいたり、オシッコやウンチをもらしてしまうこともあります。家で留守番中におもらしがあり、原因はしつけではなく、実はけいれんだったということもあるのです。
けいれんを起こす原因の一部を紹介します。
・てんかん
発作を繰り返す脳の病気。
・脳関係の疾患
脳に出来た腫瘍や水頭症。
・腎、肝臓の機能不全
体内の毒素が排出されずにショックが起こる。
・中毒症状
薬物や細菌や食べ物などが体内で中毒を起こす。
・低体温
体の温度が下がりすぎてしまった状態。
原因もいろいろありますよね。愛犬がただ震えているのか、それともけいれんをしているのか、わかりづらい場合もあります。
少しでもおかしいなと思ったら、その様子を動画に撮って、獣医さんに相談しましょう。
言葉で説明するよりも、動画を見てもらった方がわかりやすい場合があります。
そして、獣医さんと一緒に、けいれんの原因を探しながら、治療を進めていきましょう。
けいれんを見たらビックリして当たり前
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実際のけいれんを見る前の、心の準備は大切です。
獣医さんたちがけいれんを見ても落ち着いていられるのは、けいれんを見たことがあり、対処を知っているからです。
オーナーさんは病院で働いていませんから、けいれんを見る機会は多くありません。
そのため、オーナーさんが初めて愛犬のけいれんを見ると、頭が真っ白になったとか、パニックになったなど、大きなショックを受けることがあります。
人間は、初めてのことや、対処法がわからないことに、不安を感じる生き物です。
びっくりして当然です。だからこそ、事前の心の準備をしておくことが大切なのです。
初めてけいれんを見る前の心の準備
(fongleon356/shutterstock)
初めてけいれんを見る前に、心の準備をしましょう。
それは、「見ること」「聴くこと」です。
心の準備① 見て学ぶ
動画サイトなどで「犬」「発作」「けいれん」などで検索すると、闘病中のワンちゃんのオーナーさんが知識共有のために、けいれんの動画をアップしてくれていたりします。
一度それを見ておくことで、文字よりも、実際の様子がわかります。
心の準備② 聴いて学ぶ
けいれんを目にしたことがあるオーナーさんも、実は多くいます。
犬友達に体験談を聴くことは、多くの学びを得る機会になるでしょう。
ただし、とてもデリケートな話題でもありますから、聴くシチュエーションにも気を付けましょう。
心の準備をしていても、初めてけいれんを見るとビックリして、不安になるかもしれません。
ドッグトレーナーである私もそうです。初めててんかん発作を見たときは「この子が死んじゃうかも」と涙目で獣医さんに連絡しました。みんな初めはそうなんです。
もし初めての発作でショックを受けているオーナーさんがいるなら、あせらなくて大丈夫。
経験と学びを積み重ねることで、落ち着いて愛犬を守れる素敵なオーナーさんになっていけます。
けいれんが起きたら!やるべきこと
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けいれんが起きたときにどうすべきなのか。流れを確認しておきましょう。
けいれんが起こったときの3ステップ
例:てんかん発作で、愛犬が震え始めました
ステップ① スペース確保
愛犬の周辺にある物をどけて、けいれん中に体をぶつけたりしないようにしましょう。
他のワンちゃんや家族も近寄らず、愛犬が動ける場所を確保しましょう。
ステップ② 動画撮影
診断の貴重な資料になる「動画」を携帯電話で撮影しましょう。
このとき、けいれんが起きた時間と、継続時間も重要な情報ですから記録しましょう。
ステップ③ 獣医さんに電話
てんかん発作などは、2~3分程度でおさまる場合が多いです。
動画を撮り終えたら、まず大きく2回深呼吸。動物病院に電話をして、この後どうすればいいかを確認しましょう。
人手があれば、動画と電話で手分けして、すぐに電話をするのもGoodです。
※けいれんが長引く場合や、繰り返す場合は、さらに緊急性が高まります。すぐに獣医さんの指示を仰ぎましょう。
けいれんが起きたら! やってはいけないこと
(Jet Cat Studio/shutterstock)
ダメ① 触る
けいれん中の愛犬は、身体のコントロールが出来ません。抱っこしたり、なでようとして、間違って噛まれてしまうことがあります。
舌を噛まないように、口にタオルを入れることも、今は行いません。
スペースを確保して、気持ちを落ち着けて、動画を撮ることに専念しましょう。
ダメ② 刺激する
てんかんの場合、脳が興奮している場合があります。大きな声をかけたり、刺激を与えることでけいれんが長引くことの無いように、落ち着きましょう。
てんかん発作の後に、愛犬が狭い場所にもぐり込みたがることもあります。
ソファなどの下にもぐりたそうであれば、安全な範囲で好きなようにさせてあげるなど、愛犬自身が落ち着けるようなサポートしましょう。
けいれんが起こる前に。オーナーさんの事前準備
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これで、けいれんが起こったときの手順はバッチリですね。しかし、もう一声!大切な準備があります。
準備① 動物病院の連絡先確保
ペットに救急車を呼ぶ「119」はありません。オーナーさん自身で動物病院に連絡する必要があります。
24時間365日の病院は、なかなかありません。出先でも夜中でも祝日でも連絡できるように、3カ所以上の病院の連絡先を電話帳に入れておきましょう。
準備② 上述の<けいれんが起こったときの対処>を練習
対処の流れを家族全員でやってみましょう。例えば、緊急時に携帯電話で動画を撮ろうと思っても、なかなか操作がスムーズにいかないもの。
実際に「物をどけて場所確保~!」「動画撮影開始~!」「もしもし、動物病院ですか?うちのモモちゃんがけいれんをして…」など、本番さながらの練習をしてみましょう。頭でわかっているのと、身体が動くのは全く別物。
避難訓練ならぬ、対処練習をすることで、落ち着いて行動出来ますよ。
まとめ
(Jet Cat Studio/shutterstock)
人間の場合は、119番に電話することで、救急隊が来てくれます。
救急隊の使命は、患者さんを安全にお医者さんまで運ぶこと。
もちろん診断と治療は、お医者さんの役目ですから、搬送までが救急隊の任務です。
しかし、ペットに救急車は来ません。愛犬を搬送する救急隊はオーナーさんです。
診断と治療が獣医さんのお仕事。オーナーさんは救急隊員として、安全に動物病院に連れて行くまでの役割をイメージして、実際に練習しておきましょう。
けいれんが起きる前に備えられることはたくさんあります。まさか、と思うその時に慌てないで済むように、今から備えておきましょう。